「あなたの事、なんて呼べばいいの?」
「あ、私は『なぁ君』って呼んでるよっ」
「ふ〜ん。じゃあ・・・なぁ君でいっか」
「うんっ。君はなんて言うの?」
「ゆめ? ゆめは・・・かづき。かづきゆめ」
「ゆめちゃん?」
「・・・うん。ゆめちゃん」
「僕はなぁ君でゆめちゃんはゆめちゃんだねっ」
「僕? 女の子なのに、変なの」
「うぅ〜・・・女の子じゃないよっ。僕、男の子だよっ」
「だって髪の毛長いもん。ね、ゆりお姉ちゃん」
「髪が長くても男の子なんだよ、なぁ君は」
「ふ〜ん。やっぱり変なの」
「うぅ〜ゆめちゃんが虐める〜」
「駄目だよ、変だなんて言ったら」
「・・・わかった。ごめんね、なぁ君」
――――いつかの言葉。いつかの記憶。いつかの気持ち。
私は・・・思い出すたびに懐かしさというものを感じる。
それはただ一つ、私が持つ事の許された過去。
「夏の風っていいよね〜。なんか僕、好きだなぁ。
何かを思い出しそうになったり、胸がきゅってなるんだ」
「ふ〜ん。ね〜、なぁ君」
「な〜に?」
「ゆめはね、なぁ君とずっと一緒にいたいな」
「僕も一緒が良いな。ゆめちゃん楽しいもん」
「うん。ゆめもなぁ君と居るとふわってなるの」
「ふわ・・・って?」
「ふわふわって。浮かんでいけそうなくらいだよっ」
「ん〜よくわかんない」
「ゆめはもうすぐどこかにお出掛けしなくちゃいけないの。
なぁ君のママに言われたの。一緒にいたら駄目って」
「ママが? 僕とゆめちゃんが
一緒にいたらいけないって言ったの?」
「うん。ゆめとなぁ君は結ばれないんだって」
「結ばれない・・・紐か何かかな」
「違うよ。ゆめとなぁ君は一緒にいられないって事だよ」
「え〜? やだなぁ」
「やだよね。いつかまた一緒に遊びたいな」
「うん。僕も」
「じゃあ約束しようよ。また会おうねって」
「そうだね。僕、約束する。
ゆめちゃんとまた会うって・・・約束する」
それ以来私はずっと探し続けている。
いつか夢見た二人の場所。
あなたは覚えていない。
でも覚えてなくてもいい。
私は絶対に諦めないの。
あなただけが生きる意味だから。
あなただけが私の全てだから。
約束、私は忘れないよ。
それ以外のものは全て失くしてしまったけど、
それだけはぜったいぜったい、忘れないよ・・・。
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