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黒の陽炎
−2ndSeason−

著作 早坂由紀夫

色彩の無い筺庭
−Guia do Pecador−


第十七話
「神性の流出」


−−月−−日(−) PM−−:−−
エデンのふもと

 私達は歩き続けていつのまにか変な所に辿り着いていた。
 見渡す限りの広い原っぱ。
 その先には大きい建物みたいのがある。
 神殿、っていうんだと思う。
 きらきら光る石で作ってあって凄く綺麗だった。
 恐る恐る私となぁ君はそこへと歩いていく。
「ねぇゆめちゃん、危ないよぉ・・・」
「大丈夫だよ。なぁ君がいるもん、
 いざとなったらなぁ君が守ってくれるよね」
「む、無理だよぉ・・・」

−−月−−日(−) PM−−:−−
エデンのふもと・神殿前

 少しして私達は神殿の目の前までやってきた。
 不思議な感じのする所、なんか落ち着く。
 なぁ君は何処か奥の方を見てるみたいだった。
「ゆめちゃん、奥の方に何かあるよ」
「さきに行ったら駄目だよ。手、繋ご?」
「うん」
 手を繋ぎながら二人でゆっくり歩いていく。
 階段を一歩一歩確かめる様にして上がっていった。
 見えてきたのは、鎖に縛られた二つの氷の塊。
 それも私達の背よりずっと大きい。
 ぼやけた感じで中が見えた。
「わぁっ」
 私は思わずなぁ君に抱きついてしまう。
 だって中で誰かがお休みなさいしてたから。
「ど、どうしたの?」
「なんか中に人が居たんだよ」
「ホント?」
「本当だよ、ゆめは嘘付かないよっ」
「・・・うん。信じる」
 にこって微笑むなぁ君。
 その笑顔が可愛くて抱きついた身体をぎゅっとした。
 神殿の中は少し冷たい。
 なぁ君が温かいから丁度良いや。
「ここって何処なのかな」
「解んない。ゆめも知らない」
 私に聞かれても解るはずないよ。
 でも面白そうな所だなあ。
 なぁ君から離れると私はなぁ君の手を取った。
「ねえ、なぁ君。探険してみない?」
「えぇ? でもなんか変だよ、ここ」
「面白いよ、きっと」
 こういう時は絶対なぁ君は困った顔をする。
 それで私の顔をじっとみるんだ。
 けど少しするとなぁ君は目を逸らしてしまう。
「うん。解った。探険しよ」
「やったぁ。なぁ君、大好き」
 私は抱きついて頬をすりすりした。
 やっぱり最後は私の言う事聞いてくれる。
 だからなぁ君は大好きなんだ。
 二人して奥へと歩いていこうとする。
 そしたら脇にあった二つの氷の塊から声がしてきた。

  ――――――チカラヲ、モトメルノカ

 変な声。
 無視して私は歩き出す。
 なぁ君はそんな私を止めた。
「な、なにか言ってるよ?」
「聞かなくて良いよ。怖いもん」
 けれど奥へと進む前に私達の身体は動かなくなる。
 そしてまた、二つの氷の塊から声が響いてきた。

  ――――――浄化ト再生ヲツカサドル、
             『ルシード』ノチカラヲ。

  ――――――涅槃ト破壊ヲツカサドル、
             『ディアボロス』ノチカラヲ。


 よく解らないけど気持ち悪くなってくる。
 気分がどんどん悪くなってくる。
 なぁ君の方は凄く辛そうな顔をしていた。
「苦しい・・・はぁ、はぁ・・・」
「大丈夫!? なぁ君っ」
 どうしよう。
 私の所為だ。
 こんな所に来ようなんて言ったから。
 誰かは解らないけどごめんなさい。
 謝るからなぁ君に酷いコトしないで・・・。
「あうぅっ・・・!」
 胸を押さえてなぁ君は倒れてしまう。
 少し遅れて私も同じくらい痛くなってきた。
「痛いっ・・・痛いよ、なぁ君」
「ゆめ、ちゃん・・・」
 自分が何かにすり替わってく様な気がする。
 その何かが私となぁ君の大事なものを侵していった。
 凄く大事な物が変わっていく。
 不意に目の前の氷が溶け始めている事に気付いた。
 なんだろう?
 どうしてだか私は怖くて怖くて仕方なくなった。
 全部の楽しい事がなくなっちゃう気がして・・・。

−−月−−日(−) PM−−:−−

「一体、警備の者は何をしていたの!」
「すみません・・・」
「あの子達が、よりによって転生体に選ばれるなんて・・・」
「恐れながら奥様。一つだけ、
 お坊ちゃまを救う方法があります」
「申してみなさい」
「あのお嬢様にディアボロスになって頂くのです」
「・・・なんですって?」
「ルシードとしてならば、我々の害になる事はありません。
 それどころか救世主となる可能性すら秘めています。
 ですが、ディアボロスの転生体となれば・・・」
「人類の敵となり、忌み嫌われる者となる」
「その通りです」
「なるほど。実の息子であるあの子を救う為には、
 夢姫を生贄に捧げる必要があると」
「直接的に申し上げればそうでございます。
 女性に比べ男性は破壊性が強い為、お坊ちゃまには
 ディアボロスの力が強く流れ込んでしまっています」
「・・・ふぅ。良いでしょう、分家の暗部を呼びなさい」
「かしこまりました」

−−月−−日(−) PM−−:−−
高天原邸・離れの庭

 気付いた時、私達は倒れたまま扉の前に倒れていた。
 すぐになぁ君のママ達がやってきて、
 なぁ君はママに抱きしめられる。
 羨ましかった。
 私のママは一応なぁ君のママ。
 でも、本当のママじゃないって言ってた。
 だからなぁ君のママは私をこっちの部屋に住ませてる。
 絶対に私は大きいお家の方に入っちゃいけないんだ。
 いつも遊ぶ時はこのお庭で遊んでる。
 なぁ君も、ゆりお姉ちゃんも来てくれるの。
 今日もなぁ君が来てくれていた。
「夏の風っていいよね〜。なんか僕、好きだなぁ。
 何かを思い出しそうになったり、胸がきゅってなるんだ」
「ふ〜ん。ね〜、なぁ君」
「な〜に?」
 なぁ君はにこって笑う。
 私もつられて笑っていた。
「ゆめはね、なぁ君とずっと一緒にいたいな」
「僕も一緒が良いな。ゆめちゃん楽しいもん」
「うん。ゆめもなぁ君と居るとふわってなるの」
「ふわ・・・って?」
「ふわふわって。浮かんでいけそうなくらいだよっ」
「ん〜よくわかんない」
 そろそろ話さなきゃ、あの事。
 ずっと一緒にいたいけど、話さなきゃ。
「ゆめはもうすぐどこかにお出掛けしなくちゃいけないの。
 なぁ君のママに言われたの。一緒にいたら駄目って」
「ママが? 僕とゆめちゃんが
 一緒にいたらいけないって言ったの?」
「うん。ゆめとなぁ君は結ばれないんだって」
「結ばれない・・・紐か何かかな」
「違うよ。ゆめとなぁ君は一緒にいられないって事だよ」
 ほんの少しだけ意味は解っていた。
 私となぁ君はずっとこうしていられない。
 それはパパがなぁ君と同じ人だから。
 本当のママじゃないママが駄目って言うから。
「え〜? やだなぁ」
「やだよね。いつかまた一緒に遊びたいな」
 泣きそうになってしまう。
 なぁ君と離れるのは凄く寂しい。
 二度と会えなくなっちゃう様な気がした。
 離れたくない。
 ずっと隣にいたいよ、なぁ君・・・。
「うん。僕も」
「じゃあ約束しようよ。また会おうねって」
「そうだね。僕、約束する。
 ゆめちゃんとまた会うって・・・約束する」
 そうやって私達は指切りした。
 笑おうとしたんだけど涙が零れて来ちゃう。
 変だなぁ。目の前にはなぁ君が居るのに、変だなぁ。
 そんな時、不意に私の身体が持ち上がった。
「さあ、行きましょうお嬢様」
「あっ・・・ゆめちゃん」
「なぁ君、また会おうねっ・・・」
「うんっ! うんっ・・・!」
 何度もなぁ君は肯きながら涙をぼろぼろ零す。
 私も溢れてくる涙を何度も拭った。
 出来るだけ笑顔で、なぁ君とお別れした。

−−月−−日(−) PM−−:−−
地下牢

 そうやって私が連れてこられたのは暗い場所。
 暗くて、湿ってて、汚い場所。
 太陽の光が届かない嫌な所だった。
 目の前には何人かの大人の人が立っている。
「こ、こ、この子を好きにして良いんすか?」
「お前は少し黙ってろ、このロリ野郎」
「へ、へい」
「さて、宗家からの話だと彼女にありとあらゆる苦痛、
 絶望を終わり無く与えろと言う事だ」
「そりゃあ・・・良いっすねえ」
「・・・カス野郎、お前は黙ってろ」
 二人の男の人はそうやって喋っていた。
 ぺこぺこ頭を下げる人と、凄く冷たい目をした人。
 どっちもなんか気持ち悪い。
「ねえ、早くなぁ君に会いたい」
「くひっ・・・ひひ、お前はずっとここで暮らすんだよ」
「そんなのやだ」
 頭を下げてばかりいるくせに生意気。
 この人は嫌いだ。
 すると冷たい目をした人が言った。
「仕方ねえ、コレも仕事だ。良いかクズ野郎。
 てめぇが処女を奪うのは、彼女が
 その意味を理解できる年齢になってからだ。
 意味も知らない今じゃ意味がない」
「なるほど・・・解りやした」
「それまでは肉体的苦痛の方を好きなだけやっていい」
「ア、アナルは」
「・・・ちっ、変態野郎が。勝手にしろ」
「ありがとうッス!」
「良いか、これは調教とは違う。拷問だ。
 快楽という認識を与えさせるな。狂わせるな。
 全てを理解させた上で、痛みだけを与えるんだ」
「そ、それは良いっすねぇ〜」
 無言でその冷たい目をした人は階段を登っていなくなる。
 そうすると嫌な男の人が私に近づいてきた。
 いきなりその人は私の手に何かをはめてくる。
「これでよし・・・ひひひ、両手は動くかい?」
「動かない。重い。これ取って」
「う、うるせぇぞっ」
 ぱしっと音がして目の前が光った。
 気付くと私は倒れていて、頬の辺りが痛くなってる。
 涙が零れそうなくらい痛かった。
 でもその人がむかつくから涙は流さない。
 代わりに思いっきりそいつを睨んだ。
「こりゃあ、イジメ甲斐がありそうだな」
「・・・なにそれ」
 そいつは私の服を脱がせ始める。
 恥ずかしいけど、両手が使えないから止められなかった。
 気持ち悪い。悔しい。
 お尻を突き出す様にしてうつ伏せにさせられると、
 頬を床にぺったりと付けさせられる。
 それからお尻に何かが触れた。
 なんだかむずむずする。
 それがその人の指だって解って気持ち悪くなった。
「やめて、やだっ! 気持ち悪いよっ」
「黙ってろこのボケがッ」
「んぐっ・・・」
 自分が履いていたパンツを口の中に入れられる。
 吐き出そうとしたけど、その前に
 身体中をそいつの手が触ってきた。
「ん〜〜〜!」
 止めてと言おうとしたけど声にならない。
 するといきなり胸の先の所をつねられた。
 泣きたくなかったけど痛くて涙が零れる。
 怖い。誰も助けてくれないの?
 お話の中だったら、こういう時に誰かが助けてくれる。
 そう、なぁ君が助けに来てくれる。
「良い子にしてろ、良いか?」
「んんっ、んっ」
 解ったと言いたい。
 でも声にならない。
「良いかって聞いてるんだ、このクズが!」
 お腹を叩かれて私は身体は軽く浮き上がった。
 痛いよ、嫌だよ、どうしてこんな目に遭うの?
 どうして・・・。
 誰も助けに来てはくれなかった。
 その人は私のお尻の穴に何度も指を出し入れする。
「ひ、ひひっ・・・慣らしていかねぇと、な」
 何故かその内に指が動くのが苦痛じゃなくなってきた。
 代わりに変な感じがしてむずむずしてくる。
「んぐっ、くっ・・・」
「なんだぁ? もう感じてるのかぁ?
 見かけに寄らず変態だねぇ、それじゃ指は終わりだ」
 指が離れる代わりにお尻をがっちりと掴まれた。
 されるがままなのが凄く悔しい。
 少しして指よりもっと大きい物がお尻に入ってきた。
「んん〜〜〜っ!」
 ゴムみたいな感じのが入ってくる。
 お尻の穴が裂けちゃうよっ・・・!
「き、汚いからな、ゴム着けねぇと。
 それにしてもキツいッ・・・良いね、良いねぇッ!」
 痛いのと一緒にそれは出たり入ったりを繰り返す。
 ぶちぶちっという感覚がしてお尻が凄く熱くなった。
「いっ・・・ひぐっ・・・!」
 何かがお尻から流れ落ちる。
 痛くて息が出来なくなってしまう。
 その感じが不安で息がしたいのに出来なかった。
 出入りしてる所の感覚が無くなっていく。
 ひりひりして痛いけど、それも熱くてよく解らなかった。
 脂汗が額を滑り落ちる。
「へへ、切れちまったよ」
 少しずつ目の前がぼうっとなってくる。
 身体の力がどんどん抜けていく。
 それなのに手だけは痛みを我慢しようとして、
 がむしゃらに床を掻きむしっていた。
 なぁ君、早く会いたい。会いたいよ・・・。

−−月−−日(−) PM−−:−−

 日にちの感覚はもう無かった。
 好きだったTV番組は何年も見ていない。
 大好きだった食べ物も食べていない。
 食べられるのは、色んな人の身体から出る白い飲み物。
 精液って言うらしい。
 まずくて吐きそうになるけど慣れてしまった。
 それとあんまり美味しくないけど、
 普通の食べ物もちゃんと食べられる。
 だからお腹が空くって言う事はあまりなかった。
 勉強もしている。
 処女っていうのは、女の子が守るもの。
 好きな人以外には絶対に破られちゃいけないもの。
 大好きな人だけにあげる事が許されるもの。
 違う人に破られると、好きな人とはもう会えない。
 そう言っていた。
 なぁ君だけが触ったり、破ったりしていいんだ。
 私はそう考える。
 後、お尻を弄られるのには未だ慣れなかった。
 変な物を入れられるし出されるし。
 それから、なぁ君の事を思い出すと涙が出た。
 どうしても涙が止まらない。
 なんで私だけこんな目にあうのかな・・・?
 他にも痛い事を沢山してくる。
 ぶったりけったり、刺したりちぎったり潰したり。
 毎日、苦しい事や嫌な事ばっかりだった。
 その日はいつもより早く足音が聞こえてくる。
 階段を下りる音が私の気分を最悪にさせた。
 けれど現れたのは嫌な人達じゃない。
「夢姫ちゃんっ」
「・・・なぁ、君?」
 私は自分の目を疑ってしまった。
 だって目の前にはなぁ君が立っている。
 最後に会った時よりずっと背が高くなっていた。
 顔つきもちょっと変わってる。
 前よりも綺麗になってた。
「俺、ここに何かあると思って・・・やっと会えた。
 何年も探したんだよ、夢姫ちゃん」
「なぁ君、ずっと待ってたよ」
 さっきまでの嫌な気持ちはもうどこにもない。
 嬉しくてたまらなかった。
 鉄の柵越しに手を取る。
「でも夢姫ちゃん、どうして・・・あの、裸なの?」
「解んない。なんか服が無いの」
「ふ、服がないって・・・」
 そんな時、あいつらの声が聞こえてくる。
「なぁ君、隠れて。嫌な人達が来るから」
「う・・・うん」
 上手くなぁ君が隠れた頃にあいつらが降りてきた。
 にやにやと私の事を見ている。
 嫌いだけど、仕方がなかった。
 牢の中に入ってきた人達のものを舐める。
 一人一人の精液を飲み込んでいく。
 飲み込まないと怒られるから。
 怒られるのは嫌だった。
 だから言う事を聞いて良い子にする。
 それでも、私は顔やお腹を何度か叩かれた。
「さて。今日はお前が処女を失い、
 さらなる絶望にくれる日だ」
 いつも私に何もしない人が無表情でそう言う。
 その人だけはそんなに嫌いじゃなかった。
 でも他は全部嫌い。
 言い返すとぶってくるから。
 そうやっていつも通りその人達は私を床へ仰向けに倒す。
 男の人は私が処女を失うって言っていた。
 けれど処女って言うのは、
 好きな人にしかあげちゃいけない。
 だから絶対になぁ君にしかあげないんだ。
 抵抗しようとする。
 思い切りぶたれる。
 もう一度、抵抗しようとした。
 どうしてなのか身体が動かない。
 怖いから? 痛いのがやだから?
 私の身体はびくっと震えるばかりだった。
 仰向けのままでヴァギナ、と呼ばれる所に
 誰かの舌がつぷっと滑り込む。
 ぞくっとした。
 その人に全てを許してしまった様な感じがする。
 嫌なのに、なんだかどこかで嫌じゃなかった。
 なんか変な感じ・・・。
「んっ・・・あ、うぅっ・・・」
「生意気に感じてやがる。もう入れて構わねえですかい?」
「いや、これは快楽を与えた方が絶望を誘う」
「へい。解りやした」
 足が自然にくの字に曲がっていく。
 その人の頭を押さえてどかそうとした。
 でも退いてくれない。
 余計に変な感じになる。
 そういえばなぁ君が隠れて私の事、見てるんだ。
 止めさせたいのに止めてくれない。
 なぁ君に見られてると思うと、
 凄く恥ずかしい気分になってきた。
「はっ・・・く・・・や、やめ・・・んっ」
「こりゃ処女とは思えねぇ濡れ方だな。
 ケツにしろこの女、とんだ変態だ」
「それはてめぇが執拗に要らん事をしたからだろうが。
 人の命令も聞けんカスが。口上は良い、もうヤれ」
「その事ですがね、あっしより兄貴の方が上手いでしょう」
「だからなんだ?」
「快楽を与えるなら兄貴の方が良いんじゃないですかね」
「・・・ふむ、喜多田。クズらしい意見だ。
 だが仕事だからな、それが最善なら仕方あるまい」
「そうでやすね」
 気持ち悪い男の人が私から離れる。
 なのに身体が動かなかった。
 少し痺れる様な感じがする。
 すると目の前に冷たい目をした男の人が現れた。
 その人は初めて私の前でズボンを脱ぐ。
「なにするの?」
「今からお前の処女を奪わせて貰う」
「駄目だよ、それは・・・ぐっ」
 違和感がしてヴァギナに何かが触れた。
 表面をその人の指が這っている。
「これだけ濡れていれば痛さも少しは薄れるだろう」
 一瞬だけその人についてるものが見えた。
 他の人よりも大きい。あれを私に向けている。
 もしかして、あれが?
 無理だよ・・・私は、その人に言った。
「止めて。駄目だよっ、やだ・・・!」
「仕事とはいえお前はまだガキだ。情けをかけたいがな。
 だが、俺は仕事に私情は挟まん主義なんだ」
「駄目だよっ! 私は、なぁ君が好きなんだからっ」
「なら・・・気持ちいいと思わなければいい。
 俺はお前の好きな男じゃないんだからな」
 どうにかしようとするけど、どうにもならなかった。
 ゆっくりとそれは奥へと入ってくる。
 あまりの痛さに私は気絶しそうになった。
 持続する痛みを堪えようとその人の腕を思い切り掴む。
「っ・・・いた、い・・・」
「夢姫ちゃんっ!」
 隠れてた場所から走ってくるなぁ君。
 けどその前に男の人達に捕まってしまう。
「なんだ? このガキ・・・女か? いや男だな」
「離せっ・・・離せよ!」
 ああ、私の処女はなぁ君にあげられなかった。
 目から涙が零れてくる。
 どうしてだか解らないけどそれは重要な事だった。
 だって私はなぁ君の為なら痛いの我慢できる。
 けどそうじゃなきゃ我慢なんて出来なかった。
「痛いよっ、抜いて・・・抜いてっ」
 冷たい目をした人は、私の身体を何度も突いてくる。
 その度に酷い痛みが私を襲った。
「良いか、良く聞け。お前はもう、
 なぁ君とかいう奴に会う資格はない」
「資格がっ・・・無い?」
 痛みと共に少しずつ変な感じが沸き上がってくる。
 嫌だった。来て欲しくない。
 こんなコトされてるのに、気持ちよくなんて・・・。
「なぁ君とずっと一緒に居たいか?」
「・・・くぅ、うんっ」
「無理だよ。言っただろ、処女は好きな人にあげる物だと。
 それが出来なければもう二度と会う資格など無い」
「え・・・」
 私は震えながらなんとかなぁ君の方を見てみる。
 凄く変な顔で私の事を見ていた。
 悲しそうな、悔しそうな顔。
「その上、初めてで感じる様なガキなんかじゃな」
「ああっ・・・んん、止めてっ・・・変なのっ・・・」
「夢姫ちゃん!」
 こっちを見るなぁ君の顔を見ていたら、
 何かお腹の奥が疼く様な感じがした。
 黒いものがお腹の中に溜まっていく様な感じ。
 その人の精液が私のお腹の中に勢いよく吐き出された。
 熱くて・・・心地良い。

  ――――――――違うっ・・・!

 気持ち悪い。
 こんなの、嘘だ・・・。
 どういう顔をすれば良いのかよく解らない。
 いつもとは違って、ヴァギナの方から
 精液がぽたぽたとたれてきた。
 意味が解らないのにそれを見ていると悲しくなった。
 思わず私は声を押し殺して泣く。
「生理が来てもいないガキで良かったな。
 妊娠する心配は無い」
 その人はまた私の身体に入ってきた。
 さっきよりも苦しくない。
 その所為で気持ちよさが余計に際立っていた。
 どうしてか解らないけど、お腹の奥の方がじんじんする。
「あくっ・・・んっ、ああぁっ! うあぁぁっ・・・!」
 痛さよりも気持ちよさが勝ってしまった。
 優しく入り口の方を色んな風にして突いてくる。
 それで私はとろけそうなほどに気持ちよくなっていた。
 あっちではなぁ君が押さえつけられて、
 私の方をじっと見ているのに。
 今度は外にびゅっと精液が飛んできた。
 精液は思い切り顔にかかってしまう。
 それが終わった後、私の身体はぐったりしていた。
 冷たい目をした男の人が私から離れると、
 違う人達が私に向かって歩いてくる。
 何も考えられない。
 考えたくない。
 なぁ君が流す涙の意味も、そして私の涙の意味も。

第十八話へ続く